FWDについて

FWDとは?

FWDとは,おもりを落下させた衝撃荷重を載荷板を介して舗装表面に伝えたときに生じる舗装のたわみを測定する機械の一般名称です.主に舗装の支持力を測定・評価する目的で使用されます.

FWDという名前は,Falling Weight Deflectometer という英語名の各単語の頭文字を集めてできた頭字語です.かつては,「重錘式たわみ試験機」のように和訳を当てることもありましたが,現在は,FWD(エフ・ダブリュー・ディー)という呼び名が一般的で,利用者の間では単にF(エフ)と呼ばれることもあります.

国内で稼働するFWD

国内最初のFWDが導入されたのが1983年です.その後,様々な機関が少しずつ導入を進めて(延べ40台以上),約25年が経過した現在は道路用,空港用あわせて35台以上のFWDが稼働しています.その間,各機関は,道路,空港,ヤードなどのアスファルト舗装やコンクリート舗装においてたわみ測定を実施し,膨大なたわみデータベースを蓄積し,データの解析や舗装の評価をしてきました.

FWDのしくみ

一般に,FWDは複数の大きさの衝撃荷重を載荷することができます.衝撃荷重の大きさは,落下させる重錘の質量を変えること,落下高さを変えることなどによって変えることができますが,連続測定をする場合は,落下高さを変えるのが簡単です.発生する衝撃荷重は,以下の式で求めることができます.

2 = 2× M × g × H × R

ここで,F:発生する衝撃荷重(N),M:重錘の質量(kg),g:重力加速度(m/s2),H:重錘の落下高さ(m),R:ばね定数(N/m).

FWDの分類(I)

FWDは,路面に荷重を作用させる重錘の数によって,単重錘システムと複重錘システムに分けることができます.落下重錘をフレームに沿って自由落下させて路面に衝撃荷重を作用させる点では両者は同じですが,複重錘システムの場合は介在重錘が存在します.

作用させる衝撃荷重が同一であれば,単重錘システムで得られるたわみも,複重錘システムで得られるたわみも基本的に違いはありません.

FWDの概念図

FWDの分類(II)

また,載荷装置の搭載形態によって,車載型FWD牽引型FWDに分けることもできます.いずれも道路や空港などで用いられ,舗装の種類や利用目的に応じ,1kN~250kNの衝撃荷重によって路面に生じたたわみを7~10個程度のたわみセンサーで測定します.

国内では,車載型FWDの台数が多いですが,これは,牽引型FWDだと公道での移動・測定にけん引免許が必要であるなどの理由があるためと考えられますが,世界的には,牽引型FWDが主流のようです.

小型FWD

近年は、持ち運びできる程度の大きさの小型FWDも普及し始め,歩道や園路のような舗装,あるいは車載型や牽引型FWDが入れないところなどでのたわみ測定も行われています.小型FWDの荷重発生機構は単重錘システムです.

小型FWDの概念図